メタリフェルホソアカクワガタ サンギール亜種
Cyclommatus metallifer sangirensis Mizunuma et Nagai, 1991
サンギール諸島 sangihe
2018年
野外品 76mm
ヤフオクで野外品のパッキング標本として購入。パッキング状態では赤紫色の光沢を放っていてとても綺麗でしたが、軟化作業で標本を洗浄したら紫色は抜け、青と黄色の発色になりました。それでも特殊な発色の得難い個体なので満足です。
サンギール諸島に生息する本亜種はメタリフェルの中で最も強い光沢を放つそうです。しかし、生体も標本も野外品の流通は極端に少なく、私が現在飼育している個体も何年も前に輸入された個体から何台も累代が重ねられたものでした。
私の飼育品も光沢は強く、アゴも真っ直ぐ伸びる… 図鑑で見た特徴と一致していますが、累代表記は既にCBとなっているヤフオクで購入した個体は、本当にサンギレンシスなのか?と聞かれたら、100%自信をもってサンギレンシスだと言い切れない自分がいました。野外品のサンギレンシスはいったいどんな色・形をしているのか…
そして遂にヤフオクで出会ってしまいました。野外品のサンギレンシス標本76mm。しかも色変わり!想像以上に値が張りましたが、今回なんとか入手することができました。これがサンギレンシスの野外品。本物のサンギレンシスです。
パッキングの状態では頭部〜前胸あたりに紫色っぽい発色が見えていましたが、軟化する時に熱湯に入れたらその光沢は黄色っぽくなってしまいました。恐らく熱湯に入れたことで油分や汚れが落ちて本来の色になったのだと思います(そう思うことにします)。それでもこの個体は非常に美しく、下地の色は褐色系ですが、大顎から頭部にかくて濃い青色の光沢が発現していて、他にも角度によって水色、金、緑の発色が表面に浮き出るようになっています。大顎には恐らく野外で闘争したであろう痕跡が色濃く残り、頭部や上翅にもかなりの傷が確認されますが、奇跡的に符節欠けなどがなく、状態がとても良いです。
この個体に出会えて本当に良かったです。我が家の飼育品と見比べると、少し顎が細くすらっと伸びている印象でした。恐らく飼育下では栄養価の高い餌を使って短期間で羽化させているので、短くぼってりとした体系になってしまうのでしょう。野外では1年1化なのでしょうかね。スタイルだけでもこんな個体を羽化させられるように、我が家の飼育品も低温で幼虫期間を伸ばすような飼育をしていきたいです。