メタリフェルホソアカクワガタ 亜種フィナエの情報

亜種フィナエ

和名:     メタリフェルホソアカクワガタ 亜種フィナエ(ペレン島亜種)
学名:     Cyclommatus metallifer finae  Mizunuma et Nagai, 1991
分布:     ペレン島、バンガイ島、バンクル島
野外珍品度:  普通★★☆☆☆☆
サイズ:    ♂26-100mm ♀23.1mm
飼育レコード: 95.8mm  ※2021年時点BE-KUWA参考
野外レコード: 100mm  ※2021年時点BE-KUWA参考

飼育難易度 : 普通★★★☆☆☆☆
飼育温度:   18〜26℃
成虫寿命:   半年〜1年
幼虫期間:   3~10ヶ月

備考

ペレン島周辺に生息するメタリフェルホソアカクワガタの最大亜種。野外品では100mmを超える個体が複数確認されているようで、どうやら大図鑑に記載されている最大サイズより大きな個体もいるようです。また、原名亜種よりも光沢が強く色彩の多様性もあり、褐色の個体から金、緑、青、紫、黒まで豊富なカラーバリエーションがあります。

野外での個体数も多いようで毎年野外品の生体が多く日本に入荷しており、生体の飼育も容易なので、毎年野外品や飼育品が多く安価に流通している印象です。最近では特殊なカラーの個体が累代によって作出されていて、黒色〜紫色のカラーが固定されてきました。

飼育については、飼育温度によって雌雄の羽化ズレがひどく、24度前後で飼育した場合は♀が約4ヶ月で羽化するのに対し、♂は6ヶ月ほど経過してからようやく羽化を始めます。成虫寿命はそこまで長くないので2ヶ月の羽化ズレが累代失敗の原因になるケースは多いです。

大型個体を羽化させる為には20度前後の低温で飼育する必要があり、我が家では20〜24度で管理してようやく85mm前後の個体を羽化させることができていますが、90mm以上を狙う場合は18〜20度ほどの管理が要求されるそうです。そこまでの低温で管理すると幼虫期間は恐らく10ヶ月〜12ヶ月ほどかかると思います。

87mmのノーマルカラー
84mmの青系野外品
黒紫のメタリフェル
紫に少し青が乗ったメタリフェル

飼育情報まとめ

成熟・ペアリングについて

後食開始:      羽化後1ヶ月ほど

成熟期間:      後食開始から1週間〜3週間

メス殺し:      時々あり

成熟とペアリングの詳細

24℃前後の環境で管理した場合、羽化してから後食まで約3週間〜1ヶ月ほどかかりました。大型個体ほど後食開始や成熟に必要な時間も長い印象で、小型の♀は温度を上げると早く活動開始してきます。

ペアリングのタイミングは後食開始してから2〜3週間経ってから行うのが安全ですが、羽化ズレなどで急ぐ場合は、1週間ほどで同居ペアリングをしてみてもいいと思います。

ペアリングはクリアスライダーなどの小さめの容器に1つだけ餌皿を入れて、5日間ほど同居させる方法をとってます。上手くいくと餌皿の上でメイトガード(♀の上に♂が覆いかぶさる行動)が確認できます。交尾後の♀は♂を避けて餌皿の下や床材の中に潜ったりするので、メイトガードを頻繁に確認した後にメイトガードが見られなくなったら♀を取り出して産卵セットに投入します。同居期間が長いと♂が♀を攻撃してしまうことも時々あるので、同居は5日くらいを目安にしましょう。

同居ペアリングを開始したサンギレンシス
羽化して間もないペレメタの♀

産卵セットについて

セット温度:    23〜26℃

容量:       コバエシャッター小 (約3200ml)

マット・材:    無添加微粒子1次発酵マットの固詰めに産卵

オススメマット:  産卵一番

産卵セットについての詳細

多めに加水した粒子の細かい発酵マットを硬く詰めるだけで産卵します。稀にマットだけでは産卵スイッチの入らない個体もいますが、産卵木に害虫が入っていたり、粘菌などを産卵セットに持ち込んでしまう可能性もあるので、私の場合は材なしで産卵セットを組むことが多いです。セットの容量は3000ml〜5000mlくらいが望ましく、そこそこの深さがあった方が産卵に有利です。

産卵セットに♀を投入してから1ヶ月〜1ヶ月半ほど経過すると、ケース側面から幼虫や卵が確認できます。親は自分の産んだ卵や幼虫を食べてしまうことがあるので、なるべく早く取り出した方が無難ですが、卵はとても小さいので、割り出しは幼虫が1令〜2令に育つ2ヶ月後くらいがやりやすい印象です。産卵が確認できた段階で、親♀がゼリーを食べにマット表面に出てきたのを見計らって親♀を取り出すのも良いと思います。

幼虫の管理について

幼虫飼育の温度:  18〜26℃

容量:       ♂200〜1600ml ♀200〜500ml 

幼虫の餌:     発酵マット

水分量:      普通〜水分多め

幼虫飼育の詳細

カワラ菌糸で大型化するという記事も時々ありますが、あまに安定して大きくできない印象なのでマット管理がオススメです。マットは発酵の浅いものから深いものまでなんでも食べてくれる印象で、高添加でも無添加でも平気で食べてそこそこのサイズに育つ印象です。大事なのは水分量と温度だと思います。我が家では20〜23℃ほどの環境で1600mlの容器を使用して最大87mmの個体を羽化させることができましたが,90mm以上の個体を作出しているブリーダーの方は、18〜20℃の管理が必要だと言っていました。私も今後はもう少し管理温度を下げて90mmUPを狙いたいと思います。

参考資料・情報まとめ

藤田 宏, 世界のクワガタムシ大図鑑 解説編, むし社, 2010, p.155.

土屋 利行, ホソアカクワガタ大特集, BE-KUWA 19号, むし社, 2020.

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  1. さあや より:

    メタリフェルのペレン島産はすべてフィナエですか?

  2. 昆虫 より:

    話変わりますけど、アクティオンゾウカブトを標本にするのですが、針は何号くらいがおすすめですか?

    • わたくわ より:

      5号以上を使いたいところですね。なるべく太いものがおすすめです!

      • 昆虫 より:

        OK! amazonで買いました。
         アドバイスありがとうございました!
                           ちなみに、6号を買いました。

  3. ジャムおじさん より:

    ニジイロクワガタの幼虫を育てているのですが、2年くらい経っても蛹になりません。どうしたらいいですか?

  4. メタリ より:

    メタリフェルのオスは、どのくらいで後食を始めますか?

    • わたくわ より:

      管理温度にもよりますが、羽化してからだいたい3週間くらいで後食開始する印象です