第22回クワガタ飼育レコードを2種獲得しました!

飼育

クワガタ・カブトムシの飼育情報誌「BE-KUWA」にて年に1度行われる飼育レコードコンテストに2種類のクワガタを申請し、2種とも無事レコードをとることができたので、ここに今の気持ちと飼育に関する情報をまとめたいと思います。

①バンダヒラタクワガタ 42.8mm

バンダ諸島ロンタル CBF6

バンダヒラタクワガタ42.8mm
バンダヒラタクワガタ42.8mm

前回38.3mm(2019)からの4.5mm更新しました!本種はインドネシアのバンダ諸島に生息している小型ヒラタで、現地での個体数もそこまで多くないようで、野外の最大サイズが23mmと言われていました。しかし、飼育すると他の外国産ヒラタ同様に大きくなる種で、菌糸瓶で管理すると容易に30mmを超えてくる個体が羽化します。

レコード個体の飼育状況としては一言で言えば、22~25℃で菌糸瓶800ml1本管理です。具体的には、7月頃に初2令の幼虫を800mlヒラタケ菌糸ボトルに投入し、そのまま1本で12月頃に羽化しました。孵化から数えると羽化までにかかる期間は約6ヶ月でした。本種の生息している島はとても小さく、標高が一番高い山で600mくらいしかないので、適正温度はそこまで低温ではないと思います。私の感覚としては22℃が適温で、それ以下の低温はお勧めしません。

今回は産卵セットから得られた個体数が少なく、兄弟も数匹しか同じ管理をしていなかった為、申請個体に近いサイズ帯の個体は他に羽化しておらず、2番目が遅れて35mmというサイズで羽化していました。レコード個体だけが上手く菌糸を食えて奇跡的に伸びたような感覚です。

前レコードを獲得している松本さんの飼育記事(BE-KUWA76号)によると、カワラタケが合っているようなので、更なるサイズアップには菌糸の種類を変えるのが有効かもしれません。私もまだ1代しか回していないので、レコード個体を種親に菌糸を変えて試行錯誤していきたいと思います。幸い次世代は幼虫が沢山とれていて、既にほとんどの個体を菌糸瓶に投入中なので、半年以内に結果が出るかな?

②チョウセンヒラタクワガタ 59.0mm

対馬厳原町 CBF2

チョウセンヒラタクワガタ59mm
大型個体でもアゴの外縁が丸くなる

2003年に57.1mmの記録が出て以降、ずっと更新が途絶えていた国産種です。念願の国産種で今回1.9mmの更新をすることができ、本当に光栄に思います。

ただし、肝心の飼育方法についてはあまり胸を張れるようなことはしておらず、ザックリ言えば22〜25℃で800ml菌糸ボトル1本管理でした(菌糸も管理方法もバンダと同じです…)。具体的には3月頃に1令幼虫で800mlに投入、そこから驚異の8ヶ月放置で11月頃に羽化した個体がこれでした。当時同じような管理で少し早く羽化してきた個体の成虫掘り出し動画はこちらですが、見てわかる通りボトルはかなり劣化してます…ですがサイズは55mm前後の個体が多数羽化しており、その中に頭ひとつ飛び出た個体が今回のレコード個体となりました。

約7ヶ月放置したチョウセンヒラタの菌糸ボトル

菌糸瓶8ヶ月放置というズボラ飼育はレコード審査員の方でも意見が分かれているようで、もっと早く交換すれば更なるサイズアップが狙えたと考えるのが王道ですが、交換しなかったからこそ菌糸の劣化具合が本種にマッチしてサイズアップに繋がったのかもしれません。個人的にはヒラタやノコは新品の菌糸よりも少し劣化が進んだ菌糸の方が大きくなるイメージで、途中で新しい菌糸に交換するよりも、放置して劣化が進んだことにより大型化した可能性もあるような気がします。そこまで計算して放置したわけではないですけど…

オオカブトの部屋のSINさんのお言葉を借りるとするならば「自然界でのオオクワガタが菌の不朽に合わせて材を食い進んでいき、その歩調が理想的にシンクロした個体が大型化する」ように、今回のレコード個体も1令時に新しい菌糸瓶の環境に馴染み、そこから徐々に成長していく過程で菌糸も程よく不朽が進み、8ヶ月という長い時間が経過した時にギリギリ羽化できる程度の劣化具合を保てたことが大型化の羽化につながったのかもしれません。「一本返しは目的ではなく手段」と言うのはまさしくその通りで、幼虫にとって最も適した環境を最も長く経験させることが大型化への道だと思いますが、本種にとって適した環境は劣化が進んだ状態の菌糸だったのかもしれません。

ここまで書きましたが、今後のサイズアップを狙う場合、やはり途中でボトル交換を試してみる必要があるように思います。本種は飼育人口が少ない印象で、私自身も累代1代目でレコード更新するとは思ってもみなかったので、レコード獲得を狙うには穴場の種類なのかもしれません。

今後もレコード個体を種親に更なるサイズアップを狙いますが、今回のレコード更新をキッカケにチョウセンヒラタの飼育を始めて、私の記録を塗り替えて頂けたらと思います。

とりあえず60mmUP目指します!

余談ですが、レコード個体はしっかり種親として次世代を残した後、綺麗に標本にして保管することにします。ここからどこまで行けるのか本当に楽しみです!

飼育レコード申請後の注意点について

レコード申請の注意点については過去にこちらの記事でまとめましたので、これから申請する方で心配な方はザッと見てほしいのですが、今回はレコード申請の注意点について少し触れていきます。

応募条件に「他誌やインターネット上に未発表であるかと。発表予定がないこと」とありますが、発表後の情報公開についてBE-KUWA編集部に問い合わせたところ、下記の解答を頂きました。

BE-KUWA編集部の解答:
 ビークワは専門ショップなどには書店発売日前に並びますが、飼育レコードは書店発売日(85号の場合は10/17)が正式な発表日のため、細かいことを言えば書店発売日前のSNSへの報告は「正式発表前の公表」にあたります。そのため、SNSへの報告関連は、できましたら書店発売日以降にお願いいたします。 同時に、個体の写真・レコードサイズ・飼育経緯等の情報開示に関しましても、書店発売後でしたらとくに縛りはありません。
 書店で本を購入される方も多々おられますので、本を見てはじめて情報を目にする読者の楽しみを奪わないよう、ご配慮いただければ幸いです。

つまりは、発売日が過ぎれば基本的に情報公開しても良いということです。ただ厄介なポイントは、ここで言う「発売日」とは書店の発売日を示すのです。BE-KUWAは正式な発売日より少し早く専門ショップに並ぶことが多く、今回は電子書籍版も14日の段階で購入・閲覧できる状態になっていたので、発売日より早く本書が入手可能ではありますが、今回の「発売日」は17日でした。ブログやSNS等での情報公開は書店発売日まで待って欲しいとのことでした。

私個人の感情としては、レコード獲得したから早くみんなに自慢したい!って思いますが、本を楽しみにしている方のことを考えると、購入前にネタバレするのは良くないですし、出版側のことを考えると販売前に情報がリークされるなんて良くないですよね…

ただ、私も確認する前は知らなかったことなので、この記事を見て「やっちまった」と思った方は、今までのことは忘れて、今後これから気をつければいいかくらいに留めていただけたら幸いです。

私も編集部も企画参加者の皆様も、共通の目的は飼育レコードという企画を楽しむことだと思いますので、この企画が今後とも長く楽しめるよう、少しだけ配慮して頂けたら幸いです。

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  1. オオクワ大好き より:

    レコード頑張ってください