基本情報
和名: レニノコギリクワガタ (旧カイナンノコギリクワガタ)
アスタコイデスノコギリ海南島亜種
学名: Prosopocoilus astacoides reni
分布: 中国南部 海南島
野外珍品度: 稀★★★★★☆
サイズ: ♂48.6-58.8mm ♀情報不足
飼育レコード: 68.7mm(2020) ※2021年時点BE-KUWA参考
野外レコード: 61.1mm ※2021年時点BE-KUWA参考
飼育難易度 : 普通★★★☆☆☆☆
飼育温度: 18〜26℃
成虫寿命: 半年ほど
幼虫期間: 4~10ヶ月ほど?
備考
中国の海南島に生息するノコギリクワガタの1種で、大図鑑(2010)ではProsopocoilus sp.として扱われていましたが、BE-KUWA79号(2021)のノコギリクワガタ特集号ではアスタコイデスノコギリの亜種という扱いでreniという亜種小名がついています。
素人目では頭部の突起やアゴの形状、♀の形質をみても何となくカスタネウス亜種に近いような気がするので、アスタコイデスの1亜種として収まるのもわかる気がします。形質は全身真っ黒の個体もいれば、上翅や前胸にオレンジ色の紋が出る個体もいて、色彩にかなり多様性があるようです。感覚的には国産ノコをもうひとまわり小さくしたようなサイズ帯の虫です。
現地での採集個体が少ないのか輸入ルートが少ないのかで野外品の価格がとても高く、2021年の時点では成虫ペアが4万円くらいしていました。しかし、いざ飼育してみると他のアスタコイデスの亜種と同じく飼育が簡単なようで、最近では多くの飼育個体が流通してきて2022年春の時点では価格も成虫ペアが1〜2万円前後まで落ち着いてきた印象です。今後は飼育品がもう少し落ち着いた値段帯で入手できるようになるのかもしれません。(追記、2022年6月現在では成虫ペア1万以下まで下がってきました)
飼育に関しては、特に難しいわけでもなく幼虫期間は半年〜10ヶ月ほどのようで、温度管理も特に低温が必要なわけではないようです。休眠期間は他のノコギリ同様、羽化してから多少寝ている期間はあるようですが、我が家では1ヶ月〜3ヶ月ほどで活動を開始して、2ヶ月以上餌を食べさせてから産卵させたところ40匹以上の次世代を確保することができました。基本的に発酵マット硬詰めで産卵してくれます。
大型個体を羽化させるのが今後の課題ですが、今の所は菌糸より発酵マットの方が成長がいいように思います。温度帯は20度前後が望ましい気がしますがどうなのでしょう…
飼育記
入手 2021/2/7
シュモクザメさんから中国海南島産のWF1幼虫ペアを譲って頂き飼育を開始しました。状態はどちらも3令だったような(記憶があいまいです)。とりあえず800mlのクリアボトルに発酵マットを詰めたものに個別一本返し予定で投入して様子を見ることにします。管理温度は22〜25度程度の場所で無事羽化させることが目標です。
羽化・割出し 2021/5月頃
雌雄ともにあまり羽化ズレせずに羽化(♀の写真撮ってないです…)
横から見ると頭部の中央から上方向に突き出る突起があって面白いクワガタです。分類的にはアスタコイデスにかなり近いようで、最近ではアスタコの亜種という区分にされているようで、飼育の難易度もアスタコと同じくかなり簡単な部類のようです。
恐らく現地での採集が難しい種類の為、高額種になっていると考えられますが、最近は知名度が上がっており飼育を始める人も増えたので、ニジイロクワガタと同じように、近いうちに生体の流通量が増えて累代品の価格も落ち着いてくる種類だと思ってます。
参考までに、2022年3月現在でのヤフオク取引相場が60mm前後の成虫ペアでだいたい15000〜20000円程度です。サイズや紋の有無でも多少変動しますが、半年前はペア4万円とかしました…
ありがとう ショモクザメさん!
産卵セット 2021/9/22
後食確認が♂が6月、♀が7月くらいに確認できたので、そこから2ヶ月の成熟期間を経て、産卵セットに同居させることにしました。♀殺しが怖いので♂のアゴは結束バンドでしっかり固定した状態で雌雄共に産卵セットに投入します。
セットの内容は、コバシャ中に柔らかめの産卵木を産卵1番で埋め込んだもので組みましたが、基本的には国産ノコギリと同じような方法で簡単に産卵させることができるようです。温度も24〜25度程度で、特に低温が必要なわけではないです。
詳しくはこちらの動画をご覧下さい。
産卵セット割出し 2021/10/28
割出し結果は、約40日のセット期間でマットから初令13匹、卵19個が得られました。ケース側面にも多く産卵しているようで、恐らくはマットだけを固詰めしたセットでも十分な数の幼虫を得られるかと思います。
埋め込んだ産卵木は表面から幼虫が少し確認できていて、材の中に入り込んでいる幼虫も確認できましたが、材が簡単に割れない為、もう少し日を置いてから改めて割り出そうかと思います。
また、セット後も親はまだまだ元気そうだったので、材無しのセットを再度組んで追加を得ようと思います。
詳しくはこちらの動画をご覧ください。
朽木割出し 2022/1/7
前回の産卵セット割出しの時に保留にしておいた産卵木を保管していたケースの側面から幼虫が数匹見えたので、朽木を割り出すことにしました。材を埋め込んでいたマットから既に複数の幼虫が確認できて、本命の産卵木も流石にセットから4ヶ月ほど経過していたのでかなり柔らかくなっており、素手で崩せるような状態でした。
結果は幼虫が18匹
1令〜3令まで様々なステージの幼虫が見られたので、恐らくは産卵セットを組んですぐに材に産卵を開始して、後半も定期的に材に産卵をしていたと考えられます。マットからも沢山の卵や幼虫を確保できましたが、やはり材があると安定して産んでくれるような種類なのかもしれません。
前回の割出しと合わせると、40日のセットで40以上の幼虫が得られたことになりました。まだまだ追加で産卵セットを組んでいるので、これからもっと増えるかと思います。想像以上に増えてくれて驚きましたが、得られた幼虫は全て800mlのクリアボトルに個別管理していきます。基本的には発酵マット管理ですが、一部の個体は菌糸も試してみます。
詳しくはこちらの動画にまとめてます!
♂第一号羽化 2022/4/28
最初の♂が羽化していました。
11/18に1令幼虫の状態で800mlマットボトルに投入した個体で、管理温度は20〜23℃ほどです。
羽化サイズは65mmほど。想像以上に大きく育っているようで、レコードまであと約3mmでした。意外と800ml1本管理でも大型が羽化するものですね…
まだ蛹化〜羽化を控えている個体がたくさんいるので、後続組がどんなサイズで羽化してくるのかとても楽しみです。
ちなみに♀は1ヶ月ほど早く羽化しているようで、既に10匹ほど羽化していて掘り出し済みです。
羽化サイズ結果発表 2022/6/17
まだまだ羽化待ちの個体がいますが、とりあえず現段階での羽化サイズ結果をまとめておきます。
♀(18個体)
26mm, 27mm, 27mm, 27mm, 27mm, 27mm, 27mm, 27mm, 28mm, 28mm, 28mm, 28mm, 29mm, 29mm, 29mm, 29mm, 30mm, 31mm
♂(13個体)
55mm, 55mm, 57mm, 59mm, 60mm, 60mm, 62mm, 62mm, 62mm, 62mm, 63mm, 65mm, 67mm
現段階で羽化してきた最大サイズは♂で67mm、♀で31mmという結果になりました。割り出し風景はこちらの動画でまとめてます。800mlマット1本管理で現在のレコードマイナス1mmの個体が羽化したので、恐らくマット管理が合っていると思います。一部の個体は菌糸を食わせてますが今の所そんなに大きく育っているようには見えません。まだ羽化していない個体が10匹以上控えていますが、感触的に今季67mmを超える個体はもう出ないような気がしてます。また羽化〜計測後に追加のデータを書き込む予定です。
孵化から羽化までに約8ヶ月で、成熟期間が3〜4ヶ月だと考えると、ちょうど1年で1サイクル回せそうですが、野外では1年1化なのか日本のノコのように2年1化なのかがとても気になりますよね。今回はだいたい20〜24℃くらいの管理でしたが、もう少し低い温度で幼虫期間を引っ張れたらサイズアップを狙えるのかもしれません。容量は800mlあれば十分だと感じました。今年2022年にまたレコードが更新されそうな気がしますし、もしかしたら飼育で70mm届く虫かもしれませんね。今後も累代を続けてさらなるサイズアップを果たしたいと思います!
うちでも只今 幼虫がいます 参考になりましたありがとうございます
コメントありがとうございます!
参考になったようで幸いです。とても魅力的な種類ですので是非大型個体を狙ってみてください!
カッコイイですね!大顎の発達素晴らしいです!
ありがとうございます!
今後もサイズアップ狙って頑張ります!
今うちにレニノコを休眠させていてどのくらい寝かせるか迷ってましたが迷いが晴れました。
今年6月羽化なのでもう起こそうと思います。
ちなみにマットで飼育されてますが、マットは無添加のものですか?完熟系のマットですか?
コメントありがとうございます!
マットは添加の入った発酵マットになります。
レニノコギリを幼虫で購入し、羽化させてます。レニノコギリは初めてのブリードで、マットだけでも良さそうなので、今年やってみます。
わかりやすい情報ありがとうございます。