クルビデンスオオクワガタ ベトナム南部亜種(ババクルビ)の飼育情報

クルビデンスオオクワガタ ババイ亜種

基本情報

和名:     クルビデンスオオクワガタ ベトナム南部亜種 (ババイ亜種)
学名:     Dorcus curvidens babai Fujita, 2010
分布:     ベトナム南部
野外珍品度:  稀★★★★★☆
サイズ:    ♂38.6-75.4mm ♀43.4
飼育レコード: 81.0mm(2014)  ※2021年時点BE-KUWA参考
野外レコード: 75.4mm  ※2021年時点BE-KUWA参考

飼育難易度 : 普通★★★☆☆☆☆
飼育温度:   18〜26℃
成虫寿命:   1年ほど
幼虫期間:   9~15ヶ月ほど?

備考

クルビデンスオオクワガタのベトナム南部亜種で、大図鑑(2010)ではDorcus curvidens babai として扱われています。記載の詳細については私も把握していませんが、一時期は本亜種をssp.(不明亜種)として扱う方も多く、最近ではようやく亜種小名のbabaiが定着してきて、ババクルビや亜種ババイなどと呼ばれるようになってきた印象です。亜種がわかる虫にはむやみにsspをつけないでほしいものですね…

とはいったものの、BE-KUWA68号の20ページにある本亜種の記載に「不確定な情報ながら、ベトナム南部よりクルビデンス原名亜種と同形態をした個体が見つかっているらしく、ベトナム南部亜種は別種の可能性がある」との記載もある為、今後の調査によっては分類が変わる可能性もありそうです。

とりあえず現在はbabai亜種ということになってます。うろ覚えですがマレー半島からもbabai亜種に似た形質の個体が得られているような情報がSNSで流れてきたような気がした(情報元を再発掘できなかったので確証はありません)ので、本当のところは正直わかりません。

本亜種の特徴はなんと言っても大アゴです。とても強く湾曲し、内歯は付け根付近で大きく突き出てしっかり内側を向いています。個人的には〜オオクワガタと和名がつくクワガタの中では一番内歯が付け根側によっている亜種だと思います。大型個体になっても内歯の位置はあまり上がらず、サイズ差によってもそこまで大アゴの形質に変化が現れない印象です。

飼育は国産オオクワガタと同じような方法で産卵〜幼虫飼育が可能で、加水した産卵木に産卵し、幼虫はオオヒラタケ菌糸瓶で大きく育ちます。また、国産オオクワガタと比べると少しマット産卵の傾向も強いように感じ、産卵1番を固く詰めた部分にいくつか産卵しているのを確認しています。幼虫の成長速度も早く、20〜23℃の環境で管理しても9〜10ヶ月ほどで成虫に羽化しました。

幼虫の最終体重が26gの個体が73mm程度で羽化しており、噂では飼育レコードの81mmを出すには30g以上の体重が必要だとか…

もう少し管理温度を下げて、菌糸の交換タイミングも合わせてあげれば70mm後半が目指せるかと思ってます。

飼育記

2021/5/5 入手

オークションにてファンシアーズサイト様から成虫ペアを購入
ベトナム・ダラット産 WF3 2021年1月羽化 ♂68mm、♀フリーサイズ

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
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成虫ペアで8500円で落札しました。当時にしては少し高めの落札額になりましたが、幸せなのでOKです。国産オオクワガタと比べると少し平べったく横に広いような印象です。このアゴは挟まれたら血が出ますね… 国産オオクワガタと同じく温厚な感じで、手に取ると威嚇などはせずじっとしていたり、逃げるような仕草をします。

2021/5/11 産卵セット開始

羽化後4ヶ月が経過しており、後食も十分なことが確認できたので、産卵セットを組んでそこに♂♀同居させて様子を見ることにしました。セット内容は国産オオクワガタを組む要領で、コバシャ中に産卵1番を少し詰め、上から加水した産卵木を2本入れて、軽く産卵1番で埋め込みました。

管理温度は23〜25℃くらい。特に♂のアゴ縛りなどはせず、そのまま同居させて様子を見ます。

2021/5/29 割り出し

セットを組んでから18日が経過して、産卵木を何度か齧っているところが観察できたので、産卵を確認する為に採卵しました。

材を割るとわずかですが卵が確認できました。国産オオクワガタのように一度にたくさん産卵するのではなく、ダラダラと長期間で少しずつ産卵するようですね。
とりあえず今回で交尾〜産卵が成功したので、♂を別居させて再セットを組んで追加の卵を得たいと思います。

産卵セットの組み方と割り出し結果の詳細はこちらの動画からご確認ください。

2021/6~9月頃 菌糸瓶投入

(その後の菌糸瓶投入〜菌糸瓶交換についてのデータはしっかり残せてませんので適当に書きます)
1令〜2令の状態で800mlの菌糸瓶に投入して4ヶ月ほど管理して、2本目に移す際は♀は800ml、♂は1400mlで管理してました。一部の雄は菌糸瓶が用意できず800mlで管理している個体もいます。

2022/4/5 人工蛹室に移す

1400mlボトルで管理していた♂が瓶底で蛹化していたので、掘り出して人工蛹室に移すことにしました。瓶底で蛹化していると、羽化時に体外に余分な水分を排出する際、その水分が蛹室内に溜まって上手く羽を乾かせず羽パカで羽化してしまう危険性があったり、最悪の場合、水分が気門を塞いでしまい窒息でお亡くなりになるパターンもあります。そうした事故を防ぐ為に、瓶底に蛹室を作った場合は掘り出して人工蛹室に移したり、瓶を逆さまにする必要があります。

瓶底に蛹室を作ったババクルビ♂
掘り出されたババクルビの蛹
人工蛹室に移されたババクルビ
ババクルビの蛹と人工蛹室

このような感じで今回は園芸用スポンジをつかって人工蛹室を作って蛹を移しました。ちなみに蛹体重は14.7gでした。
人工蛹室の詳しい作成方法などはこちらの動画で紹介してます。

2022/4/23 羽化

12/14の段階で幼虫体重21.6g、蛹体重14.7gの人工蛹室で管理していた個体がようやく羽化しました。

羽化当日のババクルビ♂
羽化後1日経過したババクルビ♂

サイズは約69mm。ギリ親超えできました。

また、人工蛹室組とは別にTOPGUNさんの1400ml菌糸瓶で管理していた個体も既に羽化していたので掘り出しをお願いしました。結果は↓

11/5幼虫最終体重22.6g → 73.1mm
11/5幼虫最終体重22.9g → 73.8mm
11/5幼虫最終体重23.5g → 73.5mm
11/5幼虫最終体重26.4g → 73.9mm

全部73mm台という結果になりました。どの個体も菌糸交換後に26g付近まで体重を乗せてから羽化したのではないかと考えられますが、それにしても綺麗に揃いましたね…
TOPGUNでの成虫掘り出し動画はこちらです。

約73mmのババクルビ♂
約73mmのババクルビ♂

♂はようやく羽化してきましたが、♀は既に2021年12月の段階で羽化していて、サイズはだいたい39〜41mmほどでした。感覚的には国産オオクワガタほどサイズを伸ばしにくい印象でした。

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  1. 生イキBoy♂ より:

    うちにはババクルビ以外のベトナムクルビデンス(カオバン産)も居ますがどうやらダラットにも同種は居るみたいですね ババイ亜種がクルビデンスとは別種かもと個人的には思ってます とは言えカオバンクルビも一般的なクルビデンスと違って内齒が横に生えてたりしますが(笑)

    • わたくわ より:

      貴重な情報ありがとうございます!
      やはり同所的に原名クルビに近い個体が生息しているとなると、ババイ亜種が今後別の種に分類される可能性は十分ありそうですね。
      カオバンクルビもどんな形質をしているのか気になります…

  2. ItsuLo より:

    今ならグローバルで安く買えますよ

  3. クワカブ大好き より:

    わたくわさんこの間はありがとうございました おかげでオオクワガタの幼虫は順調に育ったいます、これからもわたくわさんを応援していきます。

  4. ノギス より:

    お兄ちゃんが本州豆クワガタを取ったと言っているんですが、そのクワガタの特徴を教えてくださいアゲ

     

  5. テバサキうまいオオクワ大好き より:

    産卵一番が安く売っているところを教えてください