ディディエールシカクワガタ

ディディエールシカクワガタ
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和名:     ディディエールシカクワガタ
学名:     Rhaetulus didieri De Lisle, 1970
分布:     マレー半島(キャメロンハイランド・ゲンティンハイランド)
野外珍品度:  少ない★★★★☆☆
サイズ:    ♂35.0-87.0mm ♀34.5-36.0mm
飼育レコード: 84.3mm(2008)  ※2021年時点BE-KUWA参考
野外レコード: 87.0mm  ※2021年時点BE-KUWA参考

飼育難易度 : 普通★★★☆☆☆☆
飼育温度:   16-26℃
成虫寿命:   半年〜1年?
幼虫期間:   半年〜1年ほど?

備考

シカクワガタ属(Rhaetulus)最大種とされている大型のシカクワガタで、生息地はマレー半島の高標高地だそうです。流通している生体の産地はキャメロンハイランドが主流のようですが、最近ではゲンティンハイランド産の個体も出回っているようで、今回私はゲンティンの方を入手しました。

大図鑑にも「大あごがきわめてよく発達した究極のシカクワガ」という文言があるように、本種はシカクワガタ属の中でも特に発達した大顎を持っていて、飼育もそこまで難しくない為、飼育者の中ではシカクワガタを代表するクワガタとも言えます。

生息地の標高と気温を調べると、キャメロンハイランドは標高1800mほどの場所で、ゲンティンハイランドも標高1700mほどとかなりの高所で、年間の気温も15〜25℃ほどとかなり安定しているようです。この2産地は観光名所として山が切り開かれているのでクワガタ採集が容易にできるようですが、同じようにマレー半島の山脈伝いに標高1800mほどの場所を探せば更なる新産地があるような気がしてとても興味深いです。シカクワガタ属の中で最も南側に生息している種類であり、南に分布を広げる際に低地の高温に適応できなかった為高山地帯に生息しているのだと考えられます。

飼育については、基本的にシカクワガタ属は材に産む傾向が強いようですが、一部の噂ではマットにも産卵するようです。私はシカクワガタの飼育経験が少ないので確かなことは言えませんが、材をマットに半分埋め込んだようなセットで累代できると考えてます。

幼虫期間はレコード個体の飼育記事を見る限り、長くても1年くらいのようです。レコード記事によると、2令幼虫までマット管理して、そこからオオヒラタケの菌糸に投入して途中1回交換して84.3mmの個体を作出しているようです。管理温度は冬場15℃を下回ることもあったようですが、現地の気温を考慮すると、15〜25℃くらいの範囲なら問題なく成長するはずなので、サイズを目指す場合は16〜20℃くらいが理想なのではなかと予想しておきます。

とまあ色々書きましたが、百聞は一見に如かずなので、ディディエール初飼育頑張ります!

飼育記

入手 2022/5/16

ヤフオクにて以前から何度か取引のある方から♂♂♀の成虫トリオを購入。サイズは♂70mm, 52mm, ♀37mmで、羽化時期は2022年2~3月。産地はマレー半島の観光地ゲンティンハイランドでCBF1です。
体色の良い個体で一目惚れでした。本種で上翅に紋が出る個体は多いですが、胸部や頭部にまでオレンジの紋が出る個体は珍しい印象です。詳しいことはわかりませんがどうやら最近入るようになったゲンティンハイランド産の個体群はこのような体色のものがいるようで、キャメロンハイランド産しか知らない私にとっては衝撃的でした。

既に後食済みのようなので、もう1ヶ月ほど様子を見てからペアリングしたいと考えてます。

初の飼育になりますが、なんとか累代を繋ぎたいところです。

ペアリング・産卵セット 2022/6/14

後食してから1ヶ月以上が経ったので♂のアゴ縛りをして1週間同居ペアリングした後に産卵セットを組みました。

セット内容は、柔らかめとやや柔らかめのバクテリア材を産卵1番で埋め込んだものです。容器はコバシャ小で、転倒防止用にいつものエサ皿を3個入れてます。シカは材産卵が多いようですがディディエールはマットにも産卵する例があるようなのでこんな感じで組みましたが果たして産んでくれるのか?

メイトガードするディディエールシカクワガタ
産卵セットに♀を投入

以前アマミシカクワガタを産卵させた時はケース底面にたくさん卵が見えてましたが(全部腐りましたが)、ディディエールはどんな感じになるのでしょうか… とりあえず♂はしっかりメイトガードをしていたので交尾は成功しているはず…産んでくれ!

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  1. おつくわ より:

    飼育記の一番最後、アマミノコではなくアマミシカではないですか?
    動画ではそう仰っていた様に記憶しています

    • わたくわ より:

      コメントありがとうございます!
      おっしゃる通りアマミシカでした…ご指摘助かります!
      記事修正しておきました。

  2. 小学52年生 より:

    ディディエールの生息地はキャメロン、ゲンティンともう一つ生息している可能性があるとすれば、フレイザーズ ヒル(標高1500m 15°〜25°)ではないかと思われます。
    なぜならば、マレーアンテもこの3産地に生息しているからです。

    • わたくわ より:

      貴重な情報ありがとうございます!マレーアンテが生息できるなら可能性は高そうですね!今後の入荷があるかわかりませんがとても興味深いです。

  3. ふあーぶる より:

    ディディエールシカという種について僕はよく分からないのですが、この種は どんな環境に弱いんでしょう? 実は以前 オークションにて業者と思しき方よりディディエールシカを落札した経験があるのですが、その際 ♀が2回とも死着してしまうというケースがありました。 送られて来た状況としては、200のプリンカップに敢えて乾燥させた水苔を入れてゼリー無しという状況でした。 先方に問い合わせると運送会社の問題だと言われたのですが….. 。それほどに配達の際の温度差や湿度状況にデリケートな種なのでしょうか?

    • わたくわ より:

      落札した時期や発送にかかった日数にもよるかと思いますが、高温多湿の環境ですと短時間で弱ってしまうこともあるかと思います。その点、乾燥気味でゼリー無しは発送の方法としては悪くないと思います(私も乾燥気味でゼリーは極力入れません)。ディディエールが特別弱い種類ということでもありませんので、恐らくは生体の状態が悪かったり、梱包方法や配送中の状態が悪かったのかもしれません。
      正直私からは詳しい状態がわからないのでなんとも言えませんが、心中お察しします。

  4. クワカブ大好き より:

    スジブトヒラタマットの方が大きくなりますよ