基本情報
和名: チョウセンヒラタクワガタ 原名亜種
学名: Dorcus consentaneus consentaneus Albers, 1886
分布: 対馬、朝鮮半島、済州島、珍島
野外珍品度: 少ない★★★★☆☆
サイズ: ♂22.5-53.9mm ♀20-32.8mm
飼育レコード: 57.1mm ※2021年時点BE-KUWA参考
野外レコード: 53.9mm ※2021年時点BE-KUWA参考
飼育難易度 : ややかんたん★★☆☆☆☆
飼育温度: 10〜28℃
成虫寿命: 1〜2年
幼虫期間: 5〜10ヶ月
備考
国内では対馬にのみ生息するヒラタクワガタで、国産ヒラタの中ではあまり大型化しない種類です。本種の特徴は大顎の外縁が丸みを帯びるように湾曲してることと、前足脛節が内側に少し湾曲していることです。またtitanus属のヒラタクワガタよりも全体的に細長く、お尻の先も少し尖った印象を受けます。
titanus属であるツシマヒラタクワガタも同所的に生息していますが、チョウセンヒラタはtitanus属とは分類的に離れているようなので、交雑する可能性はとても低いとようです。野外における珍品度も高めで、以前私が対馬にクワガタ採集に行った際にはツシマヒラタばかり確認できましたが本種を見つけることが叶いませんでした。噂によると分布は島の中でもある程度局所的なのだとか…
飼育についてはtitanus属のヒラタクワガタとなんら変わらない印象で、産卵木なしのマット硬詰めセットで難なく産卵するクワガタです。幼虫飼育は菌糸の方が大型化しやすい傾向にありました。
飼育情報まとめ
成熟・ペアリングについて
後食開始: 羽化後1ヶ月ほど
成熟期間: 3ヶ月〜半年ほど?
メス殺し: あり?
成熟とペアリングの詳細
後食については23度前後の環境で管理して羽化後1ヶ月くらいでゼリーを食べ始めました。成熟期間については今回羽化後1年の個体を使用したのでわかりません。
ペアリングはアゴを縛って行いました。やはり♀殺しが怖いので本土ヒラタと同じように結束バンドでアゴを固定した状態でクリアスライダーなどの小さめの容器で1週間ほど同居ペアリングさせて産卵に望みました。
チョウセンヒラタで♀殺しにあった人がいましたらコメント下さい!
産卵セットについて
セット温度: 23〜26℃
容量: コバエシャッター【中】(約7L)
マット・材: 無添加微粒子1次発酵マットの固詰めに産卵
オススメマット: 産卵一番
産卵セットについての詳細
基本的に本土ヒラタと同じようなセットで充分産卵します。私の場合は産卵1番を硬詰めしただけでケース側面から卵が確認できました。水分は少し多めでガチガチ詰めです。
割り出しのタイミングとしては、遅すぎると親が幼虫を食べてしまう場合があるようなので、早めの割り出しがオススメです。理想はケース側面・裏面から初令幼虫が確認できたタイミングで割り出したいですね。
幼虫の管理について
幼虫飼育の温度: 18〜26℃
容量: 500〜800ml
幼虫の餌: 菌糸・発酵マット
水分量: 普通〜水分多め
幼虫飼育の詳細
個人的にはマットより菌糸の方が安易に大型化が狙える印象です。最大サイズが57mm前後なので800mlボトルで充分大型の個体を羽化させることができるようです。温度については22〜25度で管理していたら50〜56mmの個体が多数羽化してきたので、より大型を目指す場合にはもう1〜2度下げてみると面白いかもしれません。レコードに迫る個体が多数羽化しているので自己ベスト更新を目指して頑張ります!
飼育記
入手 2021/2/上旬
ヤフオクより成虫ペアを購入。対馬市厳原町産のCBF1で、昨年4〜5月に羽化した個体で、羽化から9ヶ月以上経過しているので成熟は十分だと思います。
サイズは♂41mm、♀24mm
チョウセンヒラタはあまり大きくならない種類なので、このサイズでも小型というわけではないと思います。昔に対馬で採集をした際に、本種と出会うことができなかったので、飼育品としての入手になりましたが嬉しいです!
ペアリング・産卵セット 2021/2/15
♂のアゴを結束バンドで固定して、いきなり産卵セットに同居させました。
産卵セットは、容器はコバシャ中を使って、柔らかめの産卵木を加水した産卵1番で埋め込むようなセットを組みました。水分量はマット10Lに対して水650mlほど、特にクセがある種類ではないので一般的にヒラタを産卵させる方法で大丈夫だと思います。
割り出し 2021/3/8
ケースをひっくり返すと卵が10個以上回収できました。ほとんどの卵が産卵1番を固く詰めた底面付近から見つかったので、恐らくは材なしでマット固詰めだけでも十分産卵させることができそうです。
管理温度が23度ほどだった為か、卵が孵化するまでに時間がかかり、産卵もダラダラしている印象でした。対馬の環境を考えると、恐らくはもう少し温度を上げた方が産卵しやすく卵も早く孵化するような気がします。
まだ♀が元気なので、卵回収後にもう一度産卵セットを組み直して追加を確保していきます。
菌糸投入 2021/3/23
孵化後ある程度マットを食べた初令幼虫を800mlのヒラタケ菌糸瓶に投入しました。菌糸瓶が足りない分については800mlのマットボトルを用意してとりあえず様子も見てみます。温度は22〜25度ほどで管理したいと思います。
第1陣羽化 2021/10/1
3月〜5月にかけて菌糸瓶に投入した個体が羽化してきたので掘り出しました。
結果、♂は45〜53mmほど、♀は28〜34mmほどの個体が羽化してきました。
菌糸でもマットでも♂は53mmの個体が羽化していましたが、♀のサイズを見ると菌糸の方が合っているようです。また、菌糸から羽化した個体はアゴが短い個体が多かったのですが、その理由は、菌糸瓶の場合に幼虫が蛹化前に暴れてしまって、ボトルの側面を齧った結果、幼虫時にアゴを摩耗させてしまって、それが成虫のアゴの伸びに影響を与えているような気がします。菌糸の劣化が暴れの原因だと考えられるので、もう少し低い温度で管理したり、早めの交換をすることで防げたのかもしれません…
まだまだ幼虫や蛹の状態の個体も残っていますが、とりあえず早く羽化した個体達は幼虫期間が5〜7ヶ月ほどだったので、やはり管理温度が高かったか、菌糸が合わず早く蛹化してしまった可能性も十分考えられます。
第2陣羽化 2021/12/9
10月にまだ幼虫〜蛹だった個体もだいたい羽化してきたので掘り出しました。どの個体も800ml1本で成虫まで放置していた個体で、長いものだと約8ヶ月も1本の菌糸で放置してしまいましたが、56mm以上の個体が複数羽化していたのには驚きです。
菌糸もマットも想像以上に大型の個体が羽化してきましたが、菌糸瓶の環境が悪くなってしまった個体は早いタイミングで暴れて蛹化してしまい、偶然暴れなかった個体が後から大型になって羽化してきた印象です。また、やはりマットから羽化した大型個体はアゴが長く伸びる印象でしたが、その分体格では菌糸の個体に劣っているので、サイズアップを目指す場合は、菌糸で太らせて後半にいかに暴れさせないか、または途中でマット管理に切り替える必要があると考えられます。
管理温度と羽化までにかかった日数を考えても、22~25度管理で6〜9ヶ月ほどで羽化しているので、現地の気温やサイクルを考えてももう少し低い温度で幼虫期間を伸ばして大型化が可能だと思います。
とりあえず、800ml以上の容器で22度ぐらいの管理ができれば大型個体が羽化が狙えると思います。
⚫️参考資料・情報まとめ
藤田 宏, 世界のクワガタムシ大図鑑 解説編, むし社, 2010, p.264.
土屋 利行, 世界のヒラタクワガタ大図鑑, BE-KUWA 76号, むし社, 2020. p13.
暇つぶしにいつも見させてもらっています。
オキナワヒラタクワガタが産卵してくれないので見ました
オキナワヒラタクワガタが産卵してくれないので見ました!