基本情報
和名: メタリフェルホソアカクワガタ 亜種アエノミカンス(カシルタ)
学名: Cyclommatus metallifer aenomicans Parry, 1862
分布: ハルマヘラ島、バチャン島、カシルタ島、テルナテ島、モロタイ島(旧otanii亜種)
野外珍品度: やや少ない★★★☆☆☆
サイズ: ♂31.1-78.4mm ♀22mm
飼育レコード: 78mm ※2021年時点BE-KUWA参考
野外レコード: 88mm ?
飼育難易度 : 普通★★★☆☆☆☆
飼育温度: 18〜26℃
成虫寿命: 半年〜1年
幼虫期間: 3~10ヶ月
備考
本亜種はハルマヘラ島、バチャン島、カシルタ島、テルナテ島に生息している亜種で、メタリフェルの中では1番古く記載された亜種だそうですが、Kim(2017)によるとハルマヘラ島の北部にあるモロタイ島の亜種otaniiが本亜種aenomicansに統合されたようです。
特徴的には原名亜種によく似ていますが、原名より全体的にやや光沢が強いようです。意外とカラーバリエーションがあるそうで、褐色から黄金色、中には紫っぽい光沢を持つものもいるようです。私の場合はカシルタ島産の個体から累代を始めましたが、他の亜種と比べて頭部が大きく、顎も太くなる印象を持ちました(個体差かもしれませんが…)。
若竹(2003)によると最大個体はハルマヘラ島の標高1200mで採集された86.4mmが確認されているようで、Kim(2017)による記載でも本亜種aenomicansの最大サイズは88mmとの記載があります。WF2まで飼育してみた感じ、75mmまでは800ml容器で簡単に羽化させることができるので、容量と飼育温度を見直すだけで80mmUPはできると妄想しています。感覚的には原名亜種と同じような伸び方だと思っていますが、もしかしたらすぐ頭打ちになるのかもしれませんね。
2020年の1月~2月頃にWD品が久々に入荷してから2022年まで定期的に野外品が入荷しており、生体価格も始めは数万円したものの、2022年1月現在ではペア3000円前後まで下がってとてもリーズナブルな亜種になりました。最近はタリアブ産のisogaii亜種が数ペア入荷されており、20万前後で落札されていて驚いていますが、今後の流通量と価格の変動が気になるところです。
話は脱線しましたが、アエノミカンスの飼育で唯一他の亜種と異なる点は♀殺しが多いところです。簡単にやられるのでこの亜種だけはアゴ縛りを推奨します。他はどの亜種も同じような感覚で簡単に累代できるかと思います。




飼育情報まとめ
成熟・ペアリングについて
後食開始: 羽化後2週間〜1ヶ月ほど?
成熟期間: 2週間〜1ヶ月ほど
メス殺し: あり!
成熟とペアリングについての備考
成熟期間については他の亜種と同じく、羽化後約1ヶ月で後食開始して、そこから3週間待てばブリード開始でいいと思ってます。他の亜種と明らかに違う点はメス殺しの多さです。ペレン亜種や原名亜種と同じ方法で同居ペアリングをさせた結果、50パーセント以上の確率で♀が真っ二つになりました。この亜種を同居ペアリングさせる場合はオスの顎を凧糸などで固定することをオススメします。我が家はメス殺しが原因でWF1のハルマヘラ産ラインが絶えました。
産卵セットについて
セット温度: 23〜26℃
容量: コバエシャッター【小】(約3L)
マット・材: 無添加微粒子1次発酵マットの固詰めに産卵
オススメマット: 産卵1番
産卵セットについての備考
微粒子のマットを水分多めで固詰めするだけで産卵しますが、材を埋め込むと安定して産卵する印象です。 割り出しはセットから1ヶ月半~2ヶ月後に行うと、1令~2令幼虫の状態で回収できます。基本的には他の亜種と同じ方法で問題ありません。
幼虫管理について
幼虫飼育の温度: 18〜26℃
容量: ♂200〜1600ml ♀200ml
幼虫の餌: 発酵マット
水分量: 普通~水分多め
幼虫管理の備考
20℃前後の環境で1600mlの容器で飼育して最大が78mmでした。大図鑑では野外レコードが78mmとなっていますが、どうやら野外で88mmという記録もあるようで、レコード申請されていない個体でも80mm以上の個体を羽化させている人は何人かいるようです。となると85mmくらいは飼育で出せるんじゃないかと思ってますが、成果が出せていないのが現状です… 現地の標高を考えると18℃は下げすぎな気がするので、今後は19~20℃で幼虫期間を10ヶ月まで引っ張ることを目標に頑張る予定です。
参考資料・参考記事
若竹 哲矢, キクロマトス探訪, KUWATA No.15, ワイルドプライド, 2003. p96-99.
五味 孝廣, Cyclommatus BLUES, KUWATA No.20, ワイルドプライド, 2004. p50-60.