ノコギリクワガタの情報

ノコギリクワガタ

基本情報

和名:     ノコギリクワガタ
学名:     Prosopocoilus inclinatus inclinatus (Motschulsky, 1857)
分布:     北海道、本州、四国、九州、佐渡、対馬、壱岐、五島列島、種子島、伊豆諸島(伊豆大島、利島)、朝鮮半島
野外珍品度:  もっとも普通★☆☆☆☆☆
サイズ:    ♂25.8-74.7mm ♀25-41.5
飼育レコード: 76.8mm(2015)  ※2021年時点BE-KUWA参考
野外レコード: 77mm  ※2021年時点BE-KUWA参考

飼育難易度 : 普通★★★☆☆☆☆
飼育温度:   10-28℃
成虫寿命:   半年ほど(休眠期間は別)
幼虫期間:   6~12ヶ月ほど?

備考

日本に広く生息するクワガタで、国外では朝鮮半島にも生息しているそうです。文献によっては離島ごとに細かく亜種が分かれているようで、ミヤケノコ、ミクラノコ、ヤクシマノコ、クチノエラブノコ、ミシマイオウノコ、クロシマノコなどの亜種がいますが、亜種間での違いが分かりづらく正直なところ私では違いがわかりません… 研究者によっては亜種区分の扱いは意見が分かれるようなので、研究者でなければ島ごとに若干の違いがあるんだなぁくらいの認識に留めておいていいと思ってます。
種名(学名)のinclinatus は「曲がった」という意味だそうで、大型個体の♂の湾曲した大顎がそのまま学名の由来になっているようです。
飼育は容易で、発酵マットを硬く詰めただけの産卵セットで産んでくれますし、幼虫も発酵マットでよく育ちます。菌糸瓶を使う人もいるようですが、個人的にはマットがオススメです。成虫は休眠するのでそこだけ注意しましょう。野外では夏〜秋にかけて成虫になった個体はそのまま蛹室で翌年の夏まで休眠するようで、飼育下でも長いと半年以上休眠することがザラにあります。

ノコギリクワガタの♀、小歯型、大歯型
ノコギリクワガタの♂
ノコギリクワガタの♂

飼育記

2021/7/6 産卵セット開始

近所の樹液で採集してきたノコギリクワガタの♀から累代開始しました。採集した場所では同じ樹液に複数のノコギリクワガタが群がっていたことから交尾済みである可能性が高いので、今回は♀をそのまま産卵セットに投入していきます。

セット内容は、産卵1番を硬詰めしただけ。マットの上に転倒防止用の水苔とゼリーを入れて、そこに♀を置いてフタをしたら完成です。管理温度はだいたい25℃前後。このまま1ヶ月〜2ヶ月ほど様子をみていきます。

詳しくはこちらの動画で

2021/8/20 産卵セット割り出し〜800ボトル投入

セットしてから1ヶ月半が経過して、ケースの側面から幼虫が確認できるようになったので、産卵セットの割り出しをしました。

割り出し結果は幼虫が19匹。ほとんどが1令幼虫で5匹だけ2令が混ざるという感じです。
得られた幼虫はそのまま800mlのボトルに個別管理していきます。

ボトルは15〜22℃ほどの環境で管理します。初令幼虫はまだマットを食べるスピードが遅いので、この状態で4ヶ月くらいは様子を見る予定です。

詳しくはこちらの動画で

2022/1/11 幼虫ボトル交換800-1400ml

800mlに投入してから5ヶ月放置してしまったので、幼虫の確認も兼ねて♂っぽい個体の体重測定とボトルのサイズアップをしました。ボトル側面から♂と判断できる個体が9匹いたいので、とりあえず9匹だけ掘り出していきます。

掘り出したノコギリクワガタの幼虫
新しく詰めた1400mlのボトル

体重測定結果↓
11.6g, 12.4g, 11.4g, 10.2g, 10.2g, 11.2g, 12.1g, 11.6g, 11.4g

一番重い個体で12.4g、軽い個体で10.2gという結果になりました。幼虫の色がそこそこ黄色くなっているので今が最大体重で、これから蛹化に向けて体重を落とすのかもしれません。とりあえず新しい発酵マットを詰めた1400mlボトルに幼虫を移して経過を観察していきたいと思います。

詳しくはこちらの動画で解説してます

2022/4/9 蛹掘り出し

いくつか蛹化している個体がいたので、試しに1匹だけ掘り出して蛹体重の計測をしてみました。

掘り出したノコギリクワガタの蛹
ノコギリクワガタ蛹の体重測定の様子

幼虫の最終体重は1/11の段階で11.4gだった個体で、蛹体重が10.0gでした。基本的に蛹化する時は体重が減るのですが、この個体は体重が残ってくれた方だと思います。体重とアゴの大きさから予想羽化サイズは66〜68mmくらいでしょうか。他の個体も似たようなサイズ帯で羽化しそうです。今季70mmUPは厳しいかな?

とりあえず掘り出した蛹は濡れティッシュで簡易的な蛹室を作って羽化まで管理することにします。

♂第一号羽化 2022/5/4

蛹体重10gの個体が羽化しました。

羽化して間もないノコギリクワガタの♂
羽化から2日経ったノコギリクワガタの♂66mm

サイズは約66mm。まだ体がしっかり固まってないので仮のサイズ測定ですが、野外でもあまり見れないサイズ帯に羽化してくれて嬉しいです。神奈川県産で70mmUPを出すにはまだまだ先が長そうですね…
後続組がどう化けるのか今から楽しみです。

成虫羽化・結果発表 2022/6/14

ほぼ全ての個体が羽化してきたので結果発表
掘り出しの動画はこちら

1月の段階での♂の最終体重↓
11.6g, 12.4g, 11.4g, 10.2g, 10.2g, 11.2g, 12.1g, 11.6g, 11.4g

♂の羽化サイズ結果
64mm, 66mm, 67mm, 68mm, 68mm, 69mm, 69mm, 69mm, 69mm, 70mm

♀の羽化サイズ結果
35mm, 35mm, 36mm, 36mm, 36mm, 36mm, 36mm, 37mm

7月孵化と考えると羽化までに11ヶ月かかったことになります。♂の体重と羽化サイズを考えるとザックリ10〜12gで65〜70mmくらいが羽化することになります。今回羽化した中で最大サイズは70mmという結果になりましたが、アゴの太さや形状にかなり個体差があるようで、サイズこそ69mmですが明らかにアゴが太く体格の良い個体も羽化してました。ここまでアゴが太いとアマミノコギリクワガタを連想してしまいます… 最高!

70mmの神奈川産ノコギリクワガタ
太め69mm神奈川産ノコギリクワガタ
左太め69mm、右70mm
左70mm、右 太め69mm
左70mm、 右 太め69mm

九州の本土ノコギリを飼育している方と情報交換をしたところ、同じ幼虫体重や蛹体重でも関東産は九州産に比べてアゴが伸びにくく還元率が悪いのではとのことでした。本気で本土ノコギリのレコードを狙う場合はやはり大型が羽化しやすく還元率も良い産地を選ぶ必要がありそうですね… やはり九州やそのへんの離島産が良さそうですね。とりあえず近所の個体群で70mm達成できたので、機会があれば次はもう少しアベレージが大きい産地の本土ノコに挑戦したいと考えてます。

今季羽化した個体は来年活動開始かな?

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  1. 500頭採取人ロックス より:

    サメハダの記事はよ

  2. モロコシ より:

    デカイ外国種もいいけど、やはり国産種に魅力を感じてしまう…

  3. かねたに より:

    オオクワガタも!

  4. てばさき より:

    オオクワバンザイ

  5. お水 より:

    国産ヒラタの記事作ってください!